ダンスコンサート『Manuel Legris Stars in Blue』に寄せて


マニュエル・ルグリからのメッセージ

音楽は私の生命力でもありますから、4名のダンサーとヴァイオリニストの三浦文彰さんとピアニストの田村響さんが、ただ純粋にぶつかり合う、こうした音楽家とダンサーの魂の見せ合いは、音楽とダンスが出会う、美しい舞台になるに違いありません。

オルガとの新作の共演は私に取って大きなチャレンジで、まるで夢のようです。振付家のパトリック・ド・バナは私たち2人の個性にふさわしい作品に仕上げると思います。私は自分の年齢に応じた成熟性を心地よく感じることができ、またオルガも彼女らしさを失わない作品に仕上がると信じています。それぞれが相手の才能や経験を自分のものとしていくことができるような作品に。
まさか、私にオルガと共演するとは思いもしませんでしたし、これは私にとっては贈り物なのです。この作品を大きな喜びをもって創造し、オルガと共に踊れることを楽しみにしております。

Manuel Legris
Photo:Ashley Taylor

マニュエル・ルグリとオルガ・スミルノワの初共演となる新作委嘱について


パトリック・ド・バナからのメッセージ

私はバレエ界を牽引する2人の怪物、マニュエル・ルグリとオルガ・スミルノワが、私と一緒に同じ稽古場で時間を捧げてくれることを大変光栄に思っています。

新作は、詩人のアレッサンドロ・バリッコ原作の「絹(シルク)」を発想源としています。この話は一人のフランス人が綺麗な絹を紡ぐ特別な蚕を探し、フランスに連れて行くために日本を旅する1900年代の物語です。

このフランス人は長い旅行の後、日本に到着し、一人の武将に出会います。武将の膝下には美しい女性が横たわっていました。彼はすぐにこの女性と恋に落ちますが、この女性と全く話すこともなく、触れることもなく、一切の感情交換もないのですが、次の3つのエピソードがこの愛の感情を表現します。一つは彼女が目覚めて目の前にフランス人を見る時、次は急須にお湯を注ぐ時、最後はそのお茶を彼が飲む時、そして2人は恋に落ちるのです。

マニュエルとオルガのための新作を創作するにあたり、私は何か特別な感情が必要だと思いました。「沈黙の愛」というこの物語に描かれている、衝撃的なエモーションが、偉大な2人のダンサーのパ・ド・ドゥに相応しいと感じたのです。
私は2人のダンサーの一切の接触のないパ・ド・ドゥを創作したいと思いました。それはちょうど月と太陽の関係のようです。僅かな見つめ会いの瞬間を経て、一人が静かに去っていく、この沈黙の愛、私にとってこれほど美しい愛の話はないのではと思ったのです。

マニュエルとオルガ、この全く違うタイプの2大スターが初めて共演すること、この創作はまさに2つの文化の結婚へのチャレンジでもあります。オルガはロシア出身で、正統派のワガノワ・バレエ教育を受けたボリショイ・バレエのスターです。ルグリは純粋なパリ・オペラ座スタイルのバレエダンサーです。年齢にも大きな差があります。この全く異なる文化の融合は2世代の結婚を試みるという私への贈り物です。

このプロジェクトでは、新作は生音楽で踊られますから、オルガとマニュエルが踊っている空間にはダンサーだけでなく、音楽家たちの感情やエネルギーも加わります。ダンサーが踊ることによる直接的な感情に音楽家たちのエネルギーが加わることで、益々豊かな感情表現となり、振付家にとっても夢のような経験となるのです。

Patrick de Bana